欧州の人権教育の動向分析を重点にしつつ、日本国内の教育者養成研修ならびに大学における教師教育実施プログラムの資料収集ならびに検討を下記の点を中心に行った。 (1)ヨーロッパにおける人権教育の動向の検討 ◎欧州の人権をめぐる議論とシティズンシップ教育・異文化間教育(多文化教育)との関連性 ◎人権に関わる教員・教育関係者の研修プログラム (2)人権教育の近接領域であるシティズンシップ教育や子どもの権利教育(子ども調査の実態分析を踏まえつつ)の検討 (3)教師教育ならびに教育指導者研修に関わる資質基準、内容・方法論の検討……欧州における教師教育とユースワーク指導者養成の検討 (4)大学における教師教育における人権教育関連科目の位置づけ、目標、内容、方法論の検討……シティズンシップ教育、持続発展教育(ESD)、子どもの権利条約などとの関連 (5)人権教育推進校の教員研修の状況分析……免許更新講習における研修内容 以上の点に関わって、海外調査を次の通り実施した。 ・2010(平成22)年10月3日~10月10日スイスにおける教員養成をめぐる状況調査……スイス・チューリヒ教育大学 ・2010(平成22)年11月28日~12月4日ドイツの教育大学における教員養成と人権教育に関する状況調査……ドイツ連邦共和国・フライブルク教育大学 以上の調査、検討を通して、人権基盤教育(学)(Theory of the human rights based education/pedagogy)の概念と構造の枠組みとそれに必要な教育者のキー・コンピテンシーについて、仮説の検証を行う材料を一定程度得ることができた。
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