2010年は、「ボロニャ宣言」にもとづいて、ドイツのすべての総合大学が、学士課程および修士課程を持つ構造へと移行すべき年であった。またそれに伴って、教員養成課程も、修士課程修了を必須条件とする形態への改編が予定されていた。事態はそれほど単純には進んでいないが、現在、すべての州で、この改編を具体化する段階に進んでいる。その際、本年度の調査からは次の諸点が明らかになった。 1. すべての州が少なくとも、学士・修士課程を通じた教員養成の試行を行っており、ニーダーザクセン州など改革が先行している州では、修士課程修了者に対する試補制度改革の段階になっている。 2. 各州および各大学では、独自に「モジュール化」された教育課程が作成されており、同時にそれを通じて達成されるべき能力(コンピテンシー)がスタンダード化されている。その際、特に教育実践との関係を強化することが強調されている。 3. 従来、大学での教職課程の終了は第1次教員試験の合格であったが、この改革のなかで、修士号の取得でそれに代えることになる。したがって今後、教員国家試験は、試補期間修了後の1回になる。 4. 試補制度の存在自体には、変化はない。しかし大学での養成との結合を強める方向で、教育・訓練内容の改革が試行されている。またさまざまな形態で、大学での実習担当教員と試補研修所の講師との共同の取り組みが始まっている。この点では、たとえばノルトライン・ヴェストファーレン州の改革が特徴的なものである。
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