本研究は、子育て支援と親をはじめとした大人への教育及び学習機会の提供を、地域を拠点として統合的に実施するための基盤となるシステム構築に貢献することを目的としており、本年度はイギリス(イングランド)での訪問調査とアンケート調査を実施した。 (1)訪問調査先は、シュア・スタートプロジェクトの第1段階から構築されてきた子どもセンター7カ所及び関連機関のリーダー等であった。事前に文献やインターネットを行使して、地域的な特性を配慮した上で選定した、ロンドン、マンチェスター、カーライル、ノーリッジ、オックスフォード(2か所)、ナニートンの7か所の子どもセンターでは、それぞれの施設の代表を兼ねるプログラムマネージャーにインタビュー調査を実施することができた。施設ごとに、自治体との関係や全国組織とのかかわりも異なり、運営方法も異なっているため、それらの説明をうけ、雇用の形態や多様な専門性について理解をすることができた。また、インタビューを実施したリーダー自身のキャリアについての話を伺うことができ、複合的な専門性を有する機関におけるリーダー像を得ることができた。 (2)前述の訪問調査時に協力を依頼した各施設に働くワーカーに対して、アンケート調査を実施した。方法としては、質問紙をリーダーにメールで送信し配布を依頼した。返信は予想を大きく下回るものとなったため、数度の督促を行い、さらに各施設あてに郵送で追加の依頼をした。回答数は計40通ほどにとどまった。リーダーとのやり取りで、スタッフの中には週1日というような雇用形態のものもあり、回答を依頼することができなかったものが多くいることなどが明らかになった。回答いただいた方の記述量は予想よりはるかに多く、資格や養成、研修などに関する必要な情報は確保できた。多くのスタッフが、複数の資格を獲得しており、研修の機会も保障されていることが明らかになった。大学からストレートに就職しているスタッフから、親として施設を利用したことがきっかけとなり、ボランティア活動を経てスタッフになった者、大学院レベルの専門性を有する管理職まで多様であることが明らかになった。以上の結果を整理して、次年度は養成機関への訪問調査を予定している。
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