本研究は、幼小連携の視座からの幼稚園における「数量・形及び論理的思考力の基礎(;『源数学』)に関わる[カリキュラム]の開発を目的としている。ただし、[カリキュラム]とは「学びの履歴」としてつくられる「経験カリキュラム」である。通常の「学習指導要領」のような「系統カリキュラム」は<カリキュラム>と表記することにする。 21年度には、研究者及び幼小の教師から研究課題に関わる「意見」を聴取し、先行研究成果と合わせて『資料集』にまとめたる22年度は『資料集』に基づいて、幼稚園で実践保育をしながら、『源数学』の<カリキュラム>を提示した。その成果は『甲南女子大学研究紀要第47号』に発表した。 23年度は、本格的な[カリキュラム]開発に際して、次のように「[カリキュラム]理念(指針)」の明確化を行った。 [内容]:「源数学(;「基礎となる事柄」・「見方・考え方」)」 [方法]:「生活・遊び」を通しての学び。 「内容(目標)」は、「生活・遊び」をより楽しく・豊富にする、つまり子どもが「必要性」を覚える「活動」として体得される。つまり、子どもにとっては「内容」は「生活・遊び」のための「手段」なのである。 [カリキュラム]は園の生活の中で開発(創造)されるものであるが、「科学性」の強い「源数学」の内容、日常言語と異なる科学言語としての「リテラシー」、子どもの多様性を勘案するとき、[カリキュラム]の開発には「設定保育」が必要となる。 本年度は、吹田市の私立幼稚園(1園)と芦屋市立幼稚園(3園)で実践保育を行って[カリキュラム]開発を行った。
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