本研究の目的は、カリキュラムマネジメントを学校に定着・促進させる方法論のひとつとして、教員研修(行政主催の集合研修および校内研修)の内容・方法を開発し、その導入推進方法および条件について解明することである。最終的には、カリキュラムマネジメント研修の手引きおよび研修パックを作成する予定である。 (1)集合研修や校内研修の実施機会を活用して、カリキュラムマネジメント研修の手引きおよび研修パックのためのワークシートやチェックリストを開発し、また研修内容・方法の有効性を検証している。特に学校での実践を分析するためのツールとしての「カリキュラムマネジメント・モデル(田村2009)」は、「実践の成果と課題が明らかになる」「今後必要名取り組みの方向性が明らかになる」「実践の要素間の関係性が明らかになる」「これまでの自己の実践の整理と価値付けができる」等の効果が、質問紙調査及び追跡調査によって確認された。 (独)教員研修センター「カリキュラムマネジメント指導者養成研修」において、全国の指導主事、管理職、教諭を対象にした質問紙調査を実施し、対象別に必要な研修内容・方法および条件、集合研修が勤務校でのカリキュラムマネジメント実践に結びつくための条件について調査した。さらに、昨年度に実施した同研修の受講者の追跡調査も実施した。これらから明らかになった知見は研修受講者にフィードバックしている。 (3)カリキュラムマネジメント実践の収集と分析を進めた。その成果として東村山市立大岱小学校の実践をカリキュラムマネジメント観点から分析・記述した書籍を出版した。また、15の特色ある実践事例を収集し、出版にむけ執筆・編集中である。これらの実践事例は、カリキュラムマネジメント・モデルに基づいて分析されており、取組の各要素についての関連的かつ総体的な把握、複数の事例の客観的な比較検討が可能である。従って、各学校の実態に応じた行われる個別的で、複雑で多様な要素からなる実践について、理解の促進や再現可能性の向上に資するものである。
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