研究計画に準じて以下のとおりの研究活動を行った。代表者の事情により実施に遅れが生じ、一部は22年度に実施繰り延べとなっている。 <平成21年度内実施分> 9月第1回会議を国立教育政策研究所にて実施。(研究計画の確認、日本における幼小連携の類型別*先行研究の検討海外に関する先行研究検討、海外調査の設計) 11月~3月海外調査の実施(1)韓国調査(丹羽・宍戸)、(2)アメリカ・ウィスコンシン州調査(松尾)、(3)アメリカ・カリフォルニア州調査(一見・中島・篠原) 3月海外調査の調査結果の持ち寄り研究交流会議とフランスにおける幼小連携政策に関する講演会の実施(話題提供赤星まゆみ氏)、いずれも国立教育政策研究所にて。国内調査(和光幼稚園)実施(宍戸) <平成21年度の中国台湾調査実施予定の繰越分> 平成22年度12月、受け入れ先の事情により台湾調査のみ実施(一見・翁麗芳・大和)。 <現在得られている知見>調査対象国では、幼小連携に関しては就学前~就学の橋渡しを、教育課程基準・スタンダードの見直し、接続の区切りの見直し、親も巻き込んだ家庭・地域・施設のあらゆる関係者の意識改革と参加、という形で円滑に行うべくそれぞれに取り組んでいることが明らかとなった。そこにはOECDが類型化した入学準備教育VSホリスティック教育の促進、という2類型に単純にあてはまらぬ問題が存在する。幼児教育の学校化の行き過ぎについてはエビデンスにもとづく反省・警告が各国にもみられるが、幼児教育や学校教育で進む市場経済化・国際競争の激化は、理念としての政策と実態の乖離をも招いている。わが国の現状に照らして参考とすべき知見を導くために、引き続き調査結果の分析にとりくむ予定である。
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