研究概要 |
平成21年9月21日~10月1日にデンマーク調査を実施した。調査先は,オールボー大学労働市場研究センター(CARMA),デンマーク教育大学若者研究センター,コペンハーゲン若者ガイダンスセンター,ロスキレ大学教育学部,エコロジカル生産学校(コペンハーゲン),コーソア生産学校。 オールボー大学では,デンマークにおけるフレックシキュリティと過渡的労働市場の現状について,デンマーク教育大学およびロスキレ大学ではデンマークにおける青年期教育との若者問題現況について,インタビューや学習会を行い,それぞれ第一線の研究者から,本研究のテーマに即してデンマーク社会の現状について学ぶことができた。またコペンハーゲン若者ガイダンスセンターでは,デンマークの各自治体における若者支援体制と取り組みの実情について,二つの生産学校においては,学校から仕事への移行(トランジッショシ)の危機に陥った若者に対する独特の教育実践について,都市と地方の比較も含めて取材し,各校長等にインタビューを行った。 今回の調査による直接的な成果は,デンマークのセキュリティを支える仕組み(その最底辺における)として,生産学校の意義を実感できたことである。若者ガイダンスセンターを訪れる若者はそれぞれ厳しい境遇を抱えていたが,それに対して,それらの若者を受け入れた生産学校の教師たちは,「ここには希望がある」という趣旨の言葉を多用していた。フレックシキュリティ政策と過渡的労働市場の理念を,その底辺の仕組みとして,生産学校の側から照らし出す可能性が明らかになった。
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