本研究の2年目にあたる平成22年度は、主に、日本およびオーストラリアにおけるシティズンシップ教育と多文化教育の現状を明らかにするために、次のような作業を行った。オーストラリアを含む諸外国および日本におけるシティズンシップ教育、多文化教育に関する文献・資料(和書・洋書)を収集し、収集した文献・資料を基にオーストラリアおよび日本のシティズンシップ教育、多文化教育に関する先行研究を整理し、また、諸外国の理論の分析を行い、研究の理論的枠組みがより精緻なものとなるように検討した。オーストラリアの学校教育について直接的な権限をもつ各州政府レベルにおけるシティズンシップ教育、多文化教育の最新動向を明らかにするために、ビクトリア州およびニューサウスウェールズ州において、シティズンシップ教育および多文化教育に関する指針および学校のカリキュラム・フレームワーク、教師のための研修プログラムの内容等を収集した。メルボルンおよびシドニーの教育省や関係機関でのインタビュー調査も実施した。その結果、シティズンシップ教育と多文化教育に対して継続的な取り組みがなされるとともに、それぞれの州での実際の政策の違いが明らかとなった。また、学校での取り組みを明らかにするために、学校およびインテンシブイングリッシュセンターでの、調査および資料の収集を行った。そこでも、各学校やセンターにおいて、それぞれの実状に合わせた多様な取り組みを行っていることが明らかになった。日本については、日本国内におけるシティズンシップ教育への取り組み・実践に関する資料の収集を行った。
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