本研究は、日仏両国の中等後教育において、特に人文系分野が社会経済的要求に対応させた職業専門化に着目し、長期キャリア形成に及ぼす文化資本伝達が多様化する変容過程を分析した。行政資料・統計と編年史等に基づく時系列データベースを作成し、また現地聞き取り調査を実施した結果、(1)フランスでは開放入学制の大学が停滞する一方で、短期高等教育機関が発展する日本とは逆の傾向がみられること、(2)大学では1968年以降設立された新構想大学による先導を経て、1980年代末以降に伝統的大学が職業専門化を進展させたことを明らかにした。
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