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本研究は、9.11事件以降、深刻化するイスラーム恐怖症(Islamophobia)に対し、イスラーム高等教育機関がイスラーム学の伝統を維持する一方、多宗教間・多元的価値の共存を促進する役割を担うべく自己変革する現代的動向を明らかにすることを目的としている。
本年度は、主としてイスラーム高等教育機関の分析枠組みの検討、およびインドネシアにおいて海外調査を実施した。第一の点に関しては、宗教省・国家教育省の各種資料からデータベースを作成し、インドネシア・マレーシアにおけるイスラーム高等教育機関の歴史的発展、各高等教育機関におけるイスラーム関連学部・プログラムの歴史的推移と現状、さらにイスラーム研究機関の研究動向をディシプリンの観点から分析・マッピングした。第二の点に関しては、インドネシアのイスラーム高等教育機関について東部ジャワ州および西スマトラ州を中心に現地調査を行った。調査では、マッピング資料をもとに、設立経緯や歴史的発展、教育・研究アプローチに特徴をもつ高等教育機関を選定し、国立イスラーム大学、国立イスラーム宗教単科大学、私立イスラーム大学のそれぞれを分析した。研究の遂行に関しては、インドネシア・スナンカリジャガ国立イスラーム大学教授ストリスノ(Strisno)氏、マレーシア・国際イスラーム大学教授ロスナニ・ハシム(Rosnani Hasim)氏から随時、分析枠組みおよび各国のイスラーム高等教育機関の傾向について助言を受け、情報交換を行った。
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