本研究は、イスラーム高等教育機関がイスラーム学の伝統を維持する一方、多宗教間・多元的価値の共存を促進する役割を担うべく自己変革する現代的動向を明らかにすることを目的としている。 本年度は第一に、2011年6月24-26日に開催された日本比較教育学会(開催地:早稲田大学)において、研究代表者の服部と研究分担者の西野が、マレーシアにおけるイスラーム高等教育機関の価値多元化社会への対応に関する考察を行った。成果の一部は、「マレーシア(クランタン州)におけるイスラーム教育の発展に関する一考察」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』58巻2号(2012)および「イスラーム世界からみた歴史的転換点としての2011年-グローバル社会における人間の尊厳と教育」日本グローバル教育学会編『グローバル教育』第14号(2012)にまとめた。 第二に、科研の最終年度として、国際シンポジウム(第2回)"International Seminar on Reforms in Islamic Higher Education in Meeting Contemporary Challenges"を2011年7月30日-31日に日本(名古屋大学)で開催した。同シンポジウムには、インドネシア(スナンカリジャガ国立イスラーム大学、シャリフ・ヒダヤトゥッラー国立イスラーム大学、ワリソンゴ国立宗教大学、パラマディナ大学、SEBIイスラーム経済学部)、マレーシア(マレーシア国際イスラーム大学)、ブルネイ(スリ・ブガワン宗教教師ユニバーシティ・カレッジ、ブルネイ・ダルッサラーム大学)、オランダ(ロッテルダム・イスラーム大学)、ヨルダン(ヤルムーク大学)から各地域の専門家13名が来日し報告を行った。この成果は英語版の書籍として現在、編集しており今年度もしくは来年度に出版する予定である。
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