本年度は大学教育経験者の意識変容について、短期交換留学生・日本人学生・社会人のインタビューの分析を行い、研究成果を学会等で発表するとともに、その研究成果を大学教育における実践に生かすべく、国際教育と社会を連携させた新しい授業の開拓に着手した。 1)短期交換プログラム留学生・日本人学生・社会人の意識変容のインタビュー分析 短期交換プログラム留学生・日本人学生・社会人を含む約170名のインタビューをもとに、意識変容について分析し、重要な概念の抽出とそのカテゴリー化を行った。大学教育を体験した「人」の視点に焦点をあて、短期交換留学生の体験や社会人が仕事を通じて持つ仕事や人生への思いの分析を行い、大学と社会における意識変容について国際的視野から多角的に捉え、グローバル化時代の大学における国際教育の発展の現実的施策について新たな知見を得た。 2)大学の国際教育と社会を連携させた相互支援体制の構築に向けた授業の開講 留学生・日本人学生・社会人の大学教育体験者が、社会との接点を切望しつつも現実的方策がつかめずにいる現状に基づき、グローバル社会において大学の学術知と社会の実践知とを結びつけられる教育の必要性の議論も鑑み、大学の国際教育と社会の相互支援体制を構築する授業の開講に向け、パイロット・スタディを行った。広島大学短期交換留学プログラム留学生向けに2003年度より開講している「HUSAインターンシップ」(HUSA=Hiroshima University Study Abroad Program)の授業を、2012年度より「グローバル化支援インターンシップ」として新たに開講する準備を進めた。本授業では、大学生と社会人の意識変容の研究成果を生かし、大学生と社会人が、相互支援を通じ、グローバル社会における自己実現への示唆が得られる国際教育の場を創出する。交換留学生が外国人の知見や外国語能力を生かせるインターンシップを開拓し、エンパワーメントの理論を実践に生かして「グローバル化支援プロジェクト」の取り組みにより社会の支援を行う体制を整備した。日本人学生や社会人の意識変容の研究成果も生かし、企業と日本人学生も留学生教育を通じて大学の国際教育に参加し、グローバル・リーダー育成を共に促進する授業を構築する準備を整えた。
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