本研究は、大学組織の複雑性と意思決定プロセスを解明することを目的としている。研究計画は大きく(A)基礎的作業フェーズ、(B)実査フェーズ、(C)分析・成果報告フェーズに別れており、21年度は(A)基礎的作業フェーズを進めた。基礎的作業フェーズは文献調査、定量的分析、定性的分析の基礎作業を進めた。文献調査は、組織論や政治学を中心に収集を進め、定量的分析を勧める上でのモデル構築の参考にすることができた。定量的分析では、大学・学部・学科レベルのプロフィール(設置改廃年、定員、実員など)に関する既存のデータベースを統計分析可能な形で整備し、大学組織の存続に関する分析を可能にした。実際にそのデータを活用し、その成果は『大学論集』の第41集に掲載された。さらに、大学院について研究科レベルでのデータを整備し、大学の学部レベルと同様に、来年度以降大学院の存続に関する分析を行うための整備を進めた。 定性的分析については、来年度以降の本格的調査の基礎固めをするべく、大学関係者を招いての小規模ワークショップを開催し、研究フレームワークの検討や個別大学の組織特性に関する情報収集を行った。
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