本研究は、大学組織の複雑性と意思決定プロセスを解明することを目的としている。研究計画は大きく(A)基礎的作業フェーズ、(B)実査フェーズ、(C)分析・成果報告フェーズに別れており、22年度は引き続き(A)基礎的作業フェーズを進めると同時に、(B)実査フェーズへと移行した。(A)の基礎的作業フェーズは文献調査、定量的分析、定性的分析の基礎作業を進めた。文献調査の成果を『大学と国家』に一部収録することができた。定量的分析では、新しい分析方法に着手し、その成果は『九州大学教育社会学研究室紀要』の第12号に掲載された。定性的分析については、高等教育研究者や大学関係者を招いての小規模ワークショップを開催し、研究フレームワークの検討や個別大学の組織特性に関する情報収集を行うと同時に、組織論・行政学の専門家への訪問調査を行った。 (B)の実査フェーズについては、昨年度(A)基礎的作業フェーズで整備しつつある大学院について研究科レベルでのデータ整備を進め、大学の学部レベルと同様に、来年度以降大学院の存続に関する分析を行うための整備を進めると同時に、大学国際化に関する機関調査や教員活動調査などの既存のデータを再整備することを通じての組織分析を展開した。
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