本年度は、昨年度訪問できなかった、キールのワルドルフ教員養成ゼミナールとハンブルクのシュタイナー教員養成施設、ボンのアラーヌス大学のシュタイナー系教員養成コース、カッセルのワルドルフ教員養成ゼミナールを訪問調査した。加えて、ボン、カッセル、ハノーバー、シュトゥットガルト、マンハイムにて、教員養成施設の講師、学生、ワルドルフ学校教師へのアンケート調査、インタビュー調査を試みた。 昨年度調査しなかった教員養成施設を訪問調査することにより、ドイツのシュタイナー教員養成施設の個性がより一層明確に見えてきた。たとえば、アラーヌス大学のシュタイナー系教員養成では、ワルドルフ教育学の電子ベースの国際的な学術雑誌を創刊し学問的な水準の高いワルドルフ教育学を確立しながら教員養成を行おうとしている。カッセルの教員養成ゼミナールは、シュタイナー学校の上級段階の教員養成を中心的課題としながら、上級段階でのワルドルフ教育学的な教育方法の開発と教育に力を入れている。シュトゥットガルトとマンハイムのシュタイナー教員養成大学では、ボローニャ・プロセスに合わせて教員養成を大きく改革しているのに対してヴィッテンの教員養成施設では、伝統的なシュタイナー教員養成を独自に発展させようとしているなどの特徴が見られる。 日本で、シュタイナー教員養成をどのように採用できるかという観点からみると、様々な個性を比較検討する中から日本でもっともふさわしい形態を見出すことができる可能性が見えてきた。具体的には、アンケートやインタビュー調査を含め、来年度の学会報告に向け現在分析を進めているところである。
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