シュタイナー系教員養成ゼミナールでの学生へのアンケート調査から、学生の満足度が高いことがわかった。また、同教員養成ゼミナールの卒業生でシュタイナー学校の教師をしている者へのアンケート調査の中の、「授業準備で何を考えるのか」という問いに対する回答を検討すると、「一人一人の子どもの発達」「生徒の内面へと到達する方法、生徒を動きへともたらす方法」「子どもたちを正しく認識すること」「どうやって授業を生き生きとしたものにするか」「授業をどうやってクラスの状況に合わせるか」といったことを考えていることから、主にクラスの個性、生徒の個性にふさわしい教育方法について考えていることがわかった。また、ゼミナールで学んで一番役に立ったことに関する質問の回答からは、(1)人智学的人間観、教育観を挙げている者、(2)芸術的要素を挙げている者、(3)実習的な部分を挙げている者がいて、シュタイナー教員養成の三本柱である、人智学的人間観・子供観、芸術実践の重視、教授法など実習の重視のそれぞれが、大きな影響を与えているけれども、学生によって、重点と考える評価が異なっていることが判明した。我々の調査結果では、総合的に見てシュタイナー教員養成ゼミナールでの教育は成功していると判断された。従って、日本の教員養成の在り方に対しても、芸術の重視とか、一人一人の子どもの観察の重視などを取り入れるのも一つの可能性として考える必要があることがわかった。なお、8月に開催された、日本教育学会第70回大会において、「ボローニャ・プロセスとドイツ・シュタイナー学校教員養成改革」のテーマで、また10月には、北京師範大学で開催された、The Fourth Worldwide Forum for Comparative Educationにおいて、Steiner Education as Global Educational Reformのテーマで報告した。
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