本研究は、日本・韓国・台湾・中国大陸・タイのアジア5地域の学生文化の比較研究、20年目の追跡調査を目的として3年計画で実施する。初年度(21年度)次年度(22年度)に続き、最終年度(23年度)は、次の研究作業を企画し分析・整理を行ってきた。 a.過去の調査研究結果及び各種文献資料の比較考察のための再整理。前年度までに実施した文献調査とアンケート調査、インタビュー調査によって明らかになった知見を、研究仮説の検証に資するよう再整理し、学生文化の二極化理論仮説を検証するための準備をした。b.タイにおける学生インタビュー調査を追加して実施した。c.調査仮説の検証と背景分析作業を行った。 その結果、次のような知見が明らかになった。当初の主要研究目的である学生文化の二極化理論仮説の適否は、基本的には今回の調査結果からも支持されるものの、その2極は「中国」の一極と「日本・台湾・タイ・韓国」の一極に分化する。つまり、韓国の中国寄りから日本寄りへの変更が明らかになり、当初の理論仮説は修正される必要が生じた。しかし、社会経済的背景を前提にすると、長期的には学生文化の独自性は薄れ、最終的には学生文化の普遍性が高まり、日本型を中心とする一極に収斂するという推論が成立する。それが今回の調査結果からの新しい結論である。 d.この調査研究の暫定的検証結果は、異文化間教育学会大会でポスター発表した。また、『駒澤社会学研究』にも2極化収斂仮説を中心に研究結果を発表した。今後、研究成果の最終報告書を冊子体の文書にまとめ公表すると同時に電子媒体を通じてWebサイト上で公表する予定で準備している。
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