今年度は、2008年2月に実施した専門職大学院在学者への調査、2009年11月に実施した教職大学院在学者への調査をあわせて総合的な分析を行った。大学院修了によって取得する学歴、専門職としての資格、大学院教育によって獲得した能力の3者の関係が、各領域によってどのように異なるのかを明らかにすることを目的として、経営系専門職大学院、法科大学院、教職大学院、IT系専門職大学院を相互に比較する分析を行った。加えて、同調査を用い、女性、30代といった特定の対象に限定して、それらの対象が専門職大学院をどのように利用しているかについての分析を行った。 また、心理系、経営系、法科系の専門職団体を訪問し、専門職団体として抱える課題や将来展望、各専門職大学院やその修了者に対する期待、専門職としての養成の課題などについてヒアリングを実施した。 これらの結果をとりまとめ、2011年夏には書籍として出版する予定である。 2010年秋からは、専門職大学院修了者を対象としたヒアリングを実施した。大学院修了後に、あらためて大学院教育をどのように評価しているかを明らかにすることをねらいとして、大学院修了後の職業、職場での処遇、自己能力観などを個人のライフヒストリーに重ね合わせる形態のインタビューを行っている。2010年度は、経営系の専門職大学院修了者を中心に約10名に実施した。インタビューの結果はテープ起こしをして、研究資料としつつ、試験的な分析を始めている。これに関しては、2011年度も継続し、上記の書籍とは別の形態としてとりまとめる予定である。
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