第二年度の計画に沿って、多様性を包含しつつ推移するインドの初等教員養成の新動向の調査をマハラシュトラ州オスマナバード県で継続し、当該分野専門家との討議から最終年度に向けての調査環境整備を行った。(1)本研究の第一年度末に実施した第一次調査の結果を踏まえ、2010年8月に第二次現地調査を実施した。(2)2011年度2月から数週間、調査地とムンバイにて、第二次現地調査の追跡調査を実施し、初等教員養成の新情報・資料を収集した。 同州の初等教員養成機関の学校年度は10月1日からの一年間であるが、通常、夏休み(5月半ばころからの数週間)直後に人事異動が発令される。今年度は調査対象研究機関の所長(校長)を含めて約半数の教員が他研究所等に移動し、本研究計画時には予測しなかった事態に遭遇した。遠方(同州は全インドの約9%の面積を持つ)からの赴任は時間を要するし、教員同士・教員と学生のコミュニケーションにも変化が生じる。このため、8月の調査は「観察」と「問題点の発見」を主目的とした調査とした。また、グループ・面談調査を実施し、学生全体の傾向を掴むように努め、2011年度始めに行う追跡調査で現地の実状をより正確に把握できるように検討した。 2011年2月からの現地調査では、責任者と多数の教員の移動の後、調査地がどのように機能しているかについて、学生、教員などと個人的な面談を実施し、其々の考え方・計画を以前よりも詳細に知ることが出来た。最終年度に向けて、明確な調査目標の再設定が必須である。 これまでの研究成果は、東海大学短期大学紀要第44号と、アジア教育史学会紀要第19号(査読有、東日本東北地震のため発刊時期がずれ込むが2010年度学会誌として発刊)に掲載される。また、本年度は二度の学会発表を行い、多くの研究者からいろいろな指摘を受けることも出来た。
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