本研究は、少子高齢化の長期的動向を背景に、就学人口が減少している地域における公立小中学校の配置モデルの構築に焦点を置いている。平成20年度以前の複数年さまざまな経費を活用して進めてきた研究の成果として、我が国各市区町村の公立小中学校の規模や配置の動向や将来の小中学校ビジョンに関する教育委員会の政策動向、さらには、現在のトレンドが今後も進行すると仮定した際の小中学校数のシミュレーションなどについては、かなりのデータを蓄積してきた。 平成21年度の科学研究費補助金に係る研究では、(1)過年度の研究蓄積を踏まえさらに分析を深めるとともに、(2)これまでの研究過程で十分ではなかった、小中学校統合効果の調査研究への着手、また、(3)グローバルに少子高齢化問題が見られることを踏まえ、とくにカナダのオンタリオ州とオーストラリアのビクトリア州について、人口変動を踏まえた学校配置デザインの解明や学校財政の投入の仕方の解明、を進めてきた。 (2)については、X県で平成22年3月をもって閉校となる3中学校を対象に、ソーシャルキャピタル調査のために開発されたアンケート用紙を用い、廃校前の生徒の学校、家庭、地域社会等に係る意識調査を実施した。統合後の同種の調査を実施し、統合効果を明らかにする縦断調査の一環である。 (3)については、カナダのオンタリオ州およびオーストラリアのビクトリア州を訪問し、就学人口動態に対応した小中学校配置モデルの在り方や学校財政の投入の仕方等に関する資料収集や文部省職員や大学教員対象のヒアリングを実施した。
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