研究課題/領域番号 |
21530902
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
深堀 聡子 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (40361638)
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研究分担者 |
南部 広孝 京都大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70301306)
鈴木 俊之 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 准教授 (50346095)
楠山 研 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20452328)
石川 裕之 畿央大学, 教育学部, 助教 (30512016)
宮崎 元裕 京都女子大学短期大学部, 初等教育学科, 准教授 (20422917)
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キーワード | 教育学 / 社会学 / 学習効果 / 質保証 / 国際比較 / 高等教育 / 技術者教育 |
研究概要 |
本研究は、大学教育の質保証の新たなアプローチとして注目されている学習成果アセスメントをめぐる各国の議論や取り組みを整理することをとおして、それぞれの国で大学教育の質として何が重視されており、質保証のあり方として何が追求されているか、その理念や改革の方向性を明らかにすることを目的とするものである。研究の対象国としたのは、英国、台湾、韓国、中国、トルコおよびオランダである。研究の方法として、はじめに各国における大学のマス化、私費負担の増大、自律性、およびグローバル化の状況に注目し、共通の指標を用いて各国の大学を取り巻く環境を整理した。そのうえで、多様なアプローチの相互補完的な関係によって規定される各国の大学の質保証システムの全体像を明らかにし、とくに重点が置かれているアプローチに注目することで、その国の質保証の特徴を明らかにした。さらに、各国における大学の質保証システムの変化を、学習成果アセスメントをめぐる動向と関連づけてとらえることを試みた。 本研究で注目したいずれの国でも、大学政策は大学教育の質を重視する方向にシフトしていた。質保証システムの重点も、全体として政府による事前規制から、専門団体による事後確認のアプローチに徐々に移行する傾向があることが確認された。学習成果にもとづく大学教育の質保証への取り組みには、国や専門分野によって温度差があった。たとえば韓国では、職業基礎能力に関する額数成果アセスメント(K-CESA)が政府主導で開発されており、中国では、学習成果の達成水準にもとづいて卒業認定と学位授与が切り離されて実践されていた。専門分野では、工学部等で実施されている技術者教育の参照基準が各国で確立され、世界共通化の方向に収斂していた。
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