研究課題
1998年から中国政府は「985工程」プログラムを発足させ、重点的な研究大学の育成をはかってきた。これは大学間の競争、学問領域間の競争、教員個人間の競争などにむけて、各種のインセンティブを与え、そうした競争メカニズムによって教育研究における中国の国際競争力の急速な強化を図ったものである。本研究はそうした政策の構造と、各大学への影響を実証的に分析し、その含意を明らかにしようとしたものである。各大学での調査によって明らかとなったのは、こうした政策は、とくに重点大学において大胆な人材戦略、学科建設戦略、国際化戦略の形成に結びつき、財政投資の重点的配分などの点で大学運営に劇的な変化を生じさせたという点である。そうした変化は、教育研究活動の活性化に飛躍的な成果をあげた。しかし他方で、若手研究者の養成といった長期的な観点から問題も指摘されている。また極端な競争主義によって、大学教員間に拝金主義、拝権力主義の傾向が生じ、これが新聞・雑誌、テレビ・ラジオなどによって報道され、一部の大学人が新しい特権階級として批判され、ひいては大学自体の社会的・文化的な地位が揺らぐという傾向も生じてきた。こうした行き過ぎへの反省と、中国全体の成長市場主義から、「協和(原語:)的社会づくり」への国家目標の修正にともなって、高等教育についても、再び機会の公平、公開性が重視されるに至っている。その一つの具体的な方策として、情報技術を通じた教育機会や教育資源の開放、教育の質の一般的な高度化をめざして「教育の情報化十年発展計画」が発表された。一部の研究大学の強化だけでなく、一般的な教育機会の高度化や教育資源の共有を、通信技術の活用を通じてはかることによって、国際競争力を強化する、という新しい段階に達したとみることができる。こうした知見にもとづいて、本研究ではさらに、中国の新しい国際化戦略のあり方を把握するとともに、そうした政策が具体的にどのような施策にむすびついたのか、またそれがどのような機能をもったのかを分析し、さらにこれを日本あるいはアメリカの事例と比較した。研究成果として、研究代表者のホームページに研究成果や新着高等教育情報として公開する。
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Open University Education Research Forum of China, Japan and South Korea : Applicat on and International Comparison of ICT in Nihon University
The Open University of China http://www.crtvu.edu.cn/ddsx/file.php?id=12615Open