北海道における小規模校の理科教育に関する研修をサポートするシステム作りのために、23年度は、以下の調査及び公表、システムづくりを行った。 ・調査結果の分析と公表 平成23年度末に北海道における理科に関する児童生徒の実態及び教員の実態を把握及び経年の変化を調査するために北海道立教育研究所附属理科教育センターと共同で全道の小・中・高等学校の抽出調査及び、全校児童50名以下の北海道内小規模校(400校)において悉皆調査を行った。平成23年度末に分析を行い21年度調査との比較を合わせて23年3月に報告書として発行し、北海道内の教育関係機関へ送付した。これらの調査から、道内の小規模校の児童と教員の姿が明らかとなり、その課題が見いだされた。特に、教員においては、理科実験を積極的に行う傾向があるが、備品不足や、研修の機会が不足していることに課題が見られた。また、小規模校理科教育の学習形態についてA・B年度方式の授業形態が全道で約25%の学校で実施されていることがわかった。授業方法や教材研究において課題が多いことがわかり、早急に授業方法の研究が必要であることがわかってきた。 ・システムの構築 21年度に道東科学教育支援ネットワーク(DOTOねっと)を立ち上げ、理科に関する教員の研修を支援するシステムの素地を構築した。このネットワークを基礎に月1回の理科研修会を釧路市こども遊学館で定期的に実施し、道東の理科教育の拠点を形成した。またDOTOねっとを拠点とし、根室市・釧路町・羅臼町・標津町・弟子屈町で授業実践及び理科の校内研修会の支援を行って、都市部と小規模校の研修ネットワークの基礎を築いた。さらに、都市部の教員が、地方の学校の校内研修会の講師として派遣し成果が上がっている。調査から研修機会の不足が挙げられたが、このシステムが整うことで、へき地の研修機会をより拡大するとともに、道東地区のコアになる教員が育ってきた。都市部(釧路)の研修拠点が確立し、この拠点をもとに地方の理科教育の研修を教材面及び指導面で支援するシステムの基礎が出来たといえる。
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