本研究は、ワークショップ型授業における学習者の思考の特質を、「ふり返り」の表現内容から検証し、社会科カリキュラムに「活動中心の授業」を位置づけるメリットとデメリシトを明らかにすることを目的とした。 平成21年度の研究成果は、次の3点である。 第1に、全国社会科教育学会第58回全国研究大会(弘前大学教育学部)において、「課題研究IIワークショップ型の授業構成」をコーディネートした。中学校社会科公民的分野の授業開発(予算配分ワークショップと日本国憲法三原則ランキング)を報告し、参加者を対象に模擬授業を実施した。方法主義社会科の再生というワークショップ型授業の意義を明らかにすることを試みたものである。 第2に、今次の学習指導要領における「活用」型学習とワークショップ型授業の関連を明ちかにした。特に、ランキングという活動要素が促す学習者の思考の特質について、山形大学附属中学校での「治安維持法制定理由ランキング」の授業と生徒の「ふり返り」表現から、明らかにした。 第3に、富山市立堀川小学校、奈良女子大学附属小学校における「ねらい」と「ふりかえり」の学習システムを視察・検討するとともに、ライティング・ワークショップなど英語圏の実践と研究について調査をすすめた。これは、次年度の「ふり返り」を充実させる言語技術の開発につながるものである。 以上の成果については、平成21年度研究成果報告書(平成22年3月)としてまとめている。
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