本研究は,社会の多文化化が急速に進展している日本の教育課題,とくに社会科教育における「多文化共存のための教育」のあり方を考える基礎的かつ実践的な研究である。 多文化社会では異質な価値観の衝突が生じる。一方からみるともう一方は寛容ではない存在,つまり不寛容ということになる。この不寛容に対して,子どもたちがどのような意識や態度を身につけるべきか,そのための社会科教育はどうあるべきかについて考究する。アメリカの多文化教育における「エクイティ教授論(Equity Pedagogy)」を手がかりに,日米の具体的な社会科実践の観察・分析を通じてそれを明らかにすることが本研究の中心課題である。
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