研究概要 |
身近なものを「分解してしくみを調べる」学習は,ものの中を開けてしくみを見るという点で生徒が新鮮味と興味関心をもち,理科が生活に結びついていることを実感すると同時に生徒に考える力を養うことができる。 ただ身近なものといってもその多くがブラックボックス化されており,簡単に分解できないものや分解できても複雑すぎてしくみがわからないものが多い。本研究ではそういった子どもたちに積極的にものを分解してしくみを調べ,考えさせる学習を開発する。もののしくみを調べる学習はものつくりの基本である。そのためには各学習段階で分解することが可能なもの,中を調べてしくみが理解できるものを選定して学習教材として取り入れることが重要である。 23年度は22年度までに作成した学習プログラム,「身近な楽器のしくみを知ろう」「IH調理器を分解しよう」について2中学校で3回,4高等学校で7回授業実践をした。授業実践した生徒の反応やアンケートからも,知的好奇心や探究心をもって科学的に調べる能力や態度を育てることや,理科を学ぶことの意義や有用性を実感する機会をもたせ,科学への関心を高めることに有効であったと言える。またIH調理器の学習については電磁誘導という生徒にとって理解しづらい分野であるが,多くの生徒が磁界や誘導電流がよくわかったと答えた。これらの授業実践については日本理科教育学会第61回全国大会(島根大学)および日本科学教育学会第35回年会(東京工業大学)で発表した。 報告書を作成するとともに理科教育学研究および物理教育に論文を投稿し受理されている。また学校教育での活用を図るため-HPに概要を掲載した。24年度以降についても授業実践は続ける予定で,すでに2高等学校での実践が確定している。
|