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2009 年度 実績報告書

声とモノから探る戦時期の音楽教育実践史研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530934
研究機関和歌山大学

研究代表者

菅 道子  和歌山大学, 教育学部, 教授 (70314549)

キーワード音楽科 / 戦時期 / 発声 / 簡易楽器 / カリキュラム
研究概要

平成21年度には、以下3点の作業を行った。
1. 昭和前期から戦後にかけての音楽科教育実践のうち、器楽指導の初期実態について先駆的実践者、山本栄、上田友亀を中心に資料収集し、分析を行った。その結果昭和初期の器楽教育は、唱歌教育の閉塞状況の打開策として位置づけ、1) 児童の音楽を生活化、2) 全員斉奏による器楽教育の実現、を教育理念として行われていた。上田の用いた木琴、ガラガラ、横笛、ミハルス、スズネットなどの楽器は生活の延長という点で「玩具的」なものも肯定され、たて笛、横笛、竹笛など西洋音楽、日本音楽の様式といったものも等閑視されて扱われた。このことが実際の音楽授業での「音楽的にはどうなのか」といった批判にさらされる原因にもなっていた。しかし、「簡易」楽器による器楽合奏は戦後の器楽教育振興の基盤となったことは明らかであり、山本は実践者として、上田は白桜社の設立による楽器供給によって牽引していく実践力を戦前に形成していた。
2. 当時の楽器の実態を探るため、楽器の収集と分析を行った。昭和前期に前述のように多様な形態のものを使用していた笛は戦後の楽器業界の開発競争の中で、「スペリオパイプ」が登場し安定期を迎えた。ソプラノ、アルトのスペリオパイプは現物を確認、音は現在のリコーダーとそれほど変わらず、高音部の鳴りにくさが若干あった。更に昭和前期に作られたミハルスも現物を確認。これは二つの円型の木片を打ち合わせるもので、打点のエネルギーを中に入れ込む構造をもった。打った後に二つの木片が開くカスタネットは、外側に打点のエネルギーを出すもので、類似のリズム打楽器でありながら楽器構造は対照的で、ミハルスはより日本的性質を有していた。
3. その他戦前から戦後の楽器製造の状況を把握するために『楽器商法』『ミュージックトレード』等の雑誌記事の収集と分析を行っている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 1930~40年代の小学校簡易楽器指導の展開2009

    • 著者名/発表者名
      菅道子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会第40回大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      20091000

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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