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2010 年度 実績報告書

声とモノから探る戦時期の音楽教育実践史研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530934
研究機関和歌山大学

研究代表者

菅 道子  和歌山大学, 教育学部, 教授 (70314549)

キーワード音楽科 / 戦時期 / 発声 / 簡易楽器 / カリキュラム / 戦後
研究概要

平成22年度には、以下3点の作業を行った。
1.昭和前期から戦後にかけての器楽指導の初期実態について、先駆的実践者のうち山本栄を中心に資料収集し、分析を行った。山本の簡易楽器教育は、唱歌教育の閉塞状況の打開策として位置づけ、1)児童の音楽を生活化、2)全員斉奏による器楽教育の実現、を教育理念として行われていた。特にハーモニカを使った実践は授業の大衆化か和声的音楽の実現かで議論となっていた。
2.1930年代の大正自由教育思想の流とファシズム思想が台頭し戦時体制下して行くなかで、ハーモニカも含めた簡易楽器は当時の社会的・文化的な文脈の中にどのように組み込まれながら誕生し、展開していったのかを明らかにするために文献研究とその整理を行った。1920年代からの出版、レコード、映画、ラジオ放送などテクノロジーによるメディアの発達が1930年代には文化の大衆化、産業化を起こしたといわれる。そうした中で映画館の伴奏音楽からレコード音楽となった和洋合奏、都心部のチンドン屋の音楽、青年団や高等小学校で組織された喇叭鼓隊、大衆歌謡からクラッシックまで網羅したハーモニカやシロホン合奏など、西洋音楽と日本音楽、大衆音楽と正統派音楽のそれぞれが混合して文化を創り、また戦意高揚のためのデモストレーションにも楽器合奏が借り出されていった時代であった。こうした背景の中で生まれた簡易楽器合奏も混合的な音楽を生み出していった。
3.1930年代の堺市を中心にした和音感教育は、国民皆唱、和声音楽の発展を目指して創案され実践化されたものであった。しかし、これもマスメディアの主体的活用の中で次第に国防教育としても注目され、遂に軍部に採用されるまでになる。音楽の高度化かと国民統合のための軍事化という二局面をもつ音感教育がどのように形成されていったのかを一教師の生涯を通して検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 1930~40年代の小学校簡易楽器指導の展開2010

    • 著者名/発表者名
      菅道子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会
    • 発表場所
      埼玉大学
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] 山本栄の楽器指導の実践を中心に-戦時・戦後音楽教科の「唱歌調」としての音楽的特質を探る2010

    • 著者名/発表者名
      菅道子
    • 学会等名
      歴史的認知音楽学研究会
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      2010-08-10

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公開日: 2012-07-19  

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