研究概要 |
本研究の目的は,中等教育および教師教育における問題設定の活動を実行可能な方法で活性化し,数学教育の質の向上を図る方策を提案することである。今年度の主要な研究成果は次のとおりである。 1. 高校数学での問題設定に関して,高校教師の授業改善を図る研究の指導と合わせて研究を重ねた。特に,授業の導入に関する適切な問題設定のあり方を明確化した。研究成果は,来年度に学会発表を予定している。同時に,高校の新しい学習指導要領で導入される課題学習における問題設定の活動の有効性について,附属学校の教師の研究授業の助言指導を行い,今後,さらに検討を重ねていくことにした。 2. 問題設定に関わる教材開発を行い,論文発表した。一つは,空間格子の教材を用いた問題設定に関するものであり,もう一つは,コンピュータを活用した問題設定に関するものである。いずれも,全国数学教育学会誌に掲載された。 3. 海外の問題設定の研究に関して,研究代表者は,ルーマニアやアメリカの研究者との共同研究を行い,ギリシャで開かれたPMEの学会において,ワーキンググループでの発表者の一人として,「実行可能な問題設定のあり方」と題する研究発表を行った。 また,学会中に何人かの海外の研究者との研究交流を行い,問題設定の活動に関する研究情報も入手した。今後の研究において,これらの活動の成果が期待される。 4. 具体的な教材を用いた問題設定を考察するため,格子経路の数学性に関する研究を行った。その成果は,現在,専門誌に投稿中である。
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