研究概要 |
本研究の目的は、「ことばによる応答理論」に基づいた家庭科のふれあい体験学習のプログラム開発であるが,この中に,途上国のこどもたちを理解して援助する精神を啓培し,援助の方法を考えることのできる人間の育成をもう一つの目標として組み込むことの可能性も合わせて追求することである。 本年度の研究計画を指針として研究を進めたが、想定以上に進展が早かった。まず、平成21年8月から9月にかけて、広島県の中高等学校の家庭科教師を対象として、「ことばによる応答理論」に基づくふれあい体験学習を成功させるための準備性についてアンケート調査を行った。その結果、この学習に対する家庭科教師の準備性はかなり高いことが判明した。このような状況を背景として、広島大学附属東雲中学校において、お手玉製作を含んだ、「ことばによる応答理論」に基づくふれあい体験学習を実施し、その効果を把握した。アンケート調査などから、「ことばによる応答理論」の学習やふれあい体験学習、そしてお手玉製作に対する興味・関心が極めて高く、授業が成功したことが明らかになった。さらには、「ことばによる応答理論」を基盤としたふれあい体験学習の成果を発展途上国に発信するための基礎研究として,ラオスの高地に住む少数民族「モン族」に絵本の読み聞かせをしている安井清子氏の活動を取り上げて検討し、「モン族」の民話を手作り絵本にすることを試みた。これには広島大学教育学部の学生と附属福山高等学校の生徒が取り組み、良質の絵本が製作された。またこれと関連して、本学の2つの附属高等学校において「モン族」の布と暮らしを中心とする授業を行い、途上国の人々に対する理解と敬愛の念が深まった。以上のように、研究は順調に進んでいる。
|