研究概要 |
本年度の研究目的は、これまでの研究成果を踏まえて、「ことばによる応答理論」,「食育ぬりえ絵本製作と読み聞かせ」,「年少者とのふれあい体験学習」をリンクさせた中学校と高等学校の家庭科プログラムの構築とその評価である。研究は次のように進捗した。 広島大学附属高等学校5クラス,附属福山高等学校2クラス、附属東雲中学校2クラスにおいて,Monica Wellington作の食育ぬりえ絵本を原図として、これをもとに独自のぬりえ絵本を製作させた。各校ともこの過程において、製作する絵本と関連ある調理実習を実施した。附属福山高等学校では、1年生1クラスで、調理実習を含むぬりえ絵本製作と「ことばによる応答理論」の学習、さらに保育園での幼児とのふれあい体験学習を組み合わせた授業を実施し、その効果についてアンケート調査を実施した。また、附属東雲中学校においても3年生4クラスにおいて、同様の実践と調査を行った。事前と事後調査の結果、対象とした全てのクラスにおいて、この度の取り組みが高い学習効果を上げたことが示された。このような、従前のふれあい体験学習を大きく転回させた今回の学習であったが、その具体的な方法や使用した教材、授業ビデオ、児童・生徒の感想などをセットにして、どのような家庭科教師でも授業実践できる形態に整理し、資料共々提供することは、今後の課題として残された。ただし、次第に広島県内の家庭科教師には、この有効な学習の情報が波及的に伝わっており、申請者も個別に対応を繰り返しているので、全国的に影響をもつ日も遠くないと思われる。
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