算数・数学教育において読解力を育成する研究は、わが国おいてまだ緒についたばかりではあるが、しかしながら、先行するいくつかの研究は存在する。本研究の実施にあたり、これら先行研究についての調査を実施した。本研究を進める上で、読解力の意味を定めること、算数・数学教育で読解力を育成する方法を持つことは必須であるので、先行研究を調査するに当たって、これら2点を中心に考察した。読解力の意味については、先行研究は文部科学省の「読解力育成プログラム」の解釈に従っていることが明らかとなった。また、読解力を育成する方法について、先行研究は「コミュニケーション能力を育成する手法」を中心にいくつかの新しい方法が開発されていることがあきらかになった。先行研究では、論理的思考力が意識されてはいないので、本研究の柱である論理的思考力に基づく読解力の育成は、オリジナリティーがあり、研究成果を出すことにより意義のある研究になるであろう。 なお、研究の成果の一部は愛媛大学教育学部紀要に「算数・数学教育における読解力の育成(1)-研究の現状と課題-」という題目で投稿中(7月刊行予定)である。
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