研究概要 |
22年度は,現職教員に行ったアンケート調査で未報告であった呼吸法についての調査結果をまとめ,その上で,姿勢と呼吸法に対する教員の捉えの具体的な問題点に言及し,プログラム作成に向けた姿勢と呼吸法指導の方向性を示した。これと平行して,13回にわたる習得体験全体の概要を報告するとともに,習得体験をもとに,アレクサンダー・テクニークの中心概念である,インヒビション,プライマリー・コントロール,ダイレクションの考察を行い,小学校音楽科における発声指導へのアレクサンダー・テクニーク応用の可能性について言及を行った。 以上の成果として,指導プログラム作成に向けては,指導者が身体の構造と機能に着目すること,支えの指導においてバランスの概念を導入すること,呼吸に関わる横隔膜,肋骨,脊椎の動きを阻害しないこと等が重要性であるという示唆を得ることができた。また,13回にわたるアレクサンダー・テクニークの習得体験からは,同テクニークの教育への応用として,姿勢がくずれてきた場合や音程が正確でない・分からない場合等において,インヒビションの概念を取り入れること,姿勢と呼吸に関わる身体の構造や機能を理解するために,解剖図や骨格の模型を用いること,バランスの概念の指導において,脊椎の上でバランスをとる活動や動きながら歌う,手を自由に動かしながら歌うといった動作を伴った活動を導入すること等を導き出すことができた。 今回の成果により,作成しようとする指導プログラムが,これまでの歌唱指導のあり方を大きく転換するものになることを確認することができたとともに,指導プログラム作成への具体的な道筋を示すことができた。
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