研究概要 |
本研究の目的は,発声指導における姿勢と呼吸法の指導に関して,アレクサンダー・テクニークを応用し,小学校教員のための新しい指導プログラムを開発することである。今年度は,研究の最終年度にあたる。これまで,アンケート調査により,小学校教員の姿勢と呼吸法に関する歌唱指導時の悩みを把握するとともに,習得体験と文献によりアレクサンダー・テクニークの原理と特徴を明らかにしてきた。 平成23年度は,これまでの成果をもとに,指導プログラムの指導項目を確定し,歌唱指導に容易に導入できる指導プログラムの作成を行った。さらに,附属小学校の5年生を対象に,指導プログラムの一部を実践するとともに,アレクサンダー・テクニーク教師の指導助言を得て,指導プログラムの修正を行った。その最終成果は,発声指導に悩みをかかえる小学校教師のための手引書『姿勢と呼吸法指導のための指導プログラム<自然な歌声で>』としてまとめ,大分県内の小学校の音楽担当教員を中心に,成果の還元を行った。 手引書の内容は,Iアレクサンダー・テクニークとは,IIアレクサンダー・テクニークの実際,III姿勢と呼吸法指導の考え方,IV姿勢と呼吸法指導のための指導プログラム<自然な歌声で>,である。手引書の中心である指導プログラムは,3つのプログラムと発展的な活動から構成され,中心となるプログラムには,それぞれ2~4つの活動が含まれる。その特徴は,身体の構造と機能を理解するための指導を取り入れていること,バランスの概念を導入していること,身体が弛んでいるという感覚を体感できる活動を取り入れていることである。これらは,いずれも,従来の歌唱指導ではほとんど着目されることのなかったものであることから,本手引書は,これまでの指導の方向を180度,転換し,新たな歌唱指導のあり方を示すものとなっている。
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