平成20年度の当初計画では、(1)新教育の理念やカリキュラムに基づく実践の創造に関わる研究集会や学校の教育実践のうち、成立期社会科に関わる教育実践の収集と戦前の成立期社会科に影響を与えている実践の収集とそれらの比較考察、(2)新教育の理念やカリキュラムの作成に影響を与えたと考えられる3名のCIE担当官(ヘファナン、ヤイディー、アンブローズ)の考え方を示す資料の収集を行うことであった。 (1)については、昭和24年に開始された小学校教員研究集会や中等教育研究集会のうち、24年から26年にかけて実施された社会科授業(CIEの担当官が直接指導)を東大図書館等で収集するとともに、比較考察を行いその特質を明らかにするために、授業記録の詳細をデータとして入力し、分類を行った。また、戦前の成立期社会科に影響を与えている実践の収集をおこない、授業記録の詳細をパソコンにデータとして入力した。入力したデータをもとに、戦前の実践と成立期社会科との連続面と断絶面について、現在考察中である。その成果については、21年度に公表予定である。 (2)については、3名のCIE担当官(ヘファナン、ヤイディー、アンブローズ)の来日以来、我が国において行った講演や雑誌掲載の論文等について、収集することができた。講演の内容や書かれた内容自体については、理解することができたが、その背景にある考え方を深く理解し、考察するためには、本国(アメリカ)において書かれた論文や経歴等について詳細に調査する必要がある。20年度は、論文の一部や経歴の概要について調査を行った。21年度に詳細な調査と考察を行う予定である。
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