研究概要 |
本年度は,熊本県内,鹿児島県離島地域の複式学級を指導する小学校教員に対する聞き取り調査を行い,複式学級における算数科学習指導の現状と改善の方向性を見出すための資料収集を行った。また,複式学級における算数科学習指導デザインのための基礎理論として用いている本質的学習環境の理論について,特に操作的証明(Operative proof)に焦点を当てて研究を進めるとともに,具体的な授業デザインのための児童の実態調査として,おはじきと位取り表を用いた操作的証明に関する臨床的インタビューを行い,児童の反応を分析した。 複式学級を指導する小学校教員に対する調査は,熊本県阿蘇地域と鹿児島県喜界町の小学校において行い,複式学級における算数科の学習指導を視察するとともに,複式学級における算数科の学習指導において具体的に困難を感じている点等について,意見を聞くことができた。その結果,複式学級における算数科学習指導のスタイルは,地域や教員の経験等によって大きく異なること,また,共通して困難に感じていることは,間接指導時に行う練習や学習活動への手立てであることが明らかとなった。 また,学習指導デザインにおいて用いる操作的証明に関しては,おはじきと位取り表を用いた操作的証明への適応可能性を調査するため,熊本市内の小学校5年生の児童を対象に,臨床的インタビュー調査を行い,学習環境デザインへの示唆を得ることができた。
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