研究分担者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科, 教授 (00372764)
水崎 誠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50374749)
藤原 志帆 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (20381022)
伊藤 真 就実短期大学, 幼児教育学科, 講師 (70455046)
緒方 満 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20512297)
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研究概要 |
平成21年度は,以下の3点の研究を実施した。第1に,音楽行動に関する理論的な研究として,レゲルスキとヴェーヌスの論を中心として理解を深めた。第2に,評価法・測定法に関する理論的な研究として,心理学的測定方法を中心として,理解を深めた。第3に,フィールド研究として,小学校学習指導要領・音楽科に示されている「音符,休符,記号等」の理解度と,歌唱共通教材24曲の学習度について研究した。以下,第3について記述する。 北海道から大分県までの中学校22校・2187人,高等学校11校・669人,短期大学と大学11校・919人,全体では,44校・3775人を対象として調査した。習い事等の経験の有無別に比較した。いずれの校種でも,経験有群の正答率が高く,とくに中学生と高校生では有群は無群の2倍以上の正答率であった。しかし,中学生では,有群の正答率は40%程度,無群の正答率は20%程度であった。中学生で正答率の高かった項目は,有群では#の名称・mpの名称・pの名称であり,無群ではmpの名称・pの名称・fの名称であった。中学生で正答率の低かった項目は,有群では縦線・加線・速度記号の名称であり,無群では小節線・6/8の意味・3/4の意味であった。高校生も大学生も,ほぼ同様な傾向であった。 これらを総合的に考察すると以下のようになる。 正答率が高い項目は,携帯電話等で用いられる頻度が高い#を除くと,すべて表現活動に付随する強弱記号である。正答率が低い項目は,すべて表現活動とは関連性が低いものである。これらのことは,小学校音楽科の授業が表現活動を中心として展開されており,その表現活動のなかでは,小学校学習指導要領・音楽科に明示されているこれらの「音符・休符・記号等」の理解への配慮が不十分であることを物語っている。小学校音楽科教科書で,これらの「音符・休符・記号等」を教授・学習するための有機的な教育課程の編成が望まれる。
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