研究課題
平成23年度は、3点で大きな成果を上げることができた。第1点は、小学校音楽科の学力を測定するための「音楽科学力テスト(改訂版)」を作成し、4校の中学校の1年生を対象として、試行的に学力調査を実施したことである。この「音楽科学力テスト(改訂版)」は、これまで3回実施された文部省・文部科学省の全国学力調査・音楽科や岐阜県の音楽能力調査表等の先行調査を参考としつつ、より使用しやすい、より評価しやすいものが完成した。その成果は、現在学会誌に投稿中である。第2点は、音楽学力テストの先進県である岐阜県の調査によって、同県で実施された「ふしづくりの音楽教育」や「小学校音楽学習の手引き 基礎能力表」について、これまで誤って理解されていた事実を解明できたことである。昭和36年に県教委によって作成された「音楽感覚段階別能力表」の改訂版である「小学校音楽学習の手引き基礎能力表」を入手し、それを第1点の「音楽科学力テスト」に反映できた。さらに、「ふしづくりの音楽教育」に関しては、昭和41年に吉城郡古川小学校で実践される以前に、まず昭和25年に「基底カリキュラム 音楽科編」が高山市教育研究所から出版され、昭和30年ころから「おんがくのおけいこ」(ワークブック)が各学年用に作成され、ほとんどの小学校で長期間にわたって継続的に使用されていた、という事実を明らかにできた。これらの基礎の上に、古川小学校での「ふしづくり一本道」が花開いたのである。さらに、「ふしづくり一本道」の創始者と語られることの多かった昭和36年から40年までの県教委指導主事の山本弘の他に、その岐阜師範の同級生であった2人の存在がクローズアップされた。当時の高山教育事務所指導主事・飛騨の小・中学校長を歴任した中村好明と家業の印刷業に就いた下通進平である。加えて、昭和36年~47年までの古川小学校音楽科主任・昭和50年~52年まで同校教頭であった山崎俊宏の実践的貢献、昭和42年から49年までの8年間にわたって「ふしづくり一本道」を教育的に指導した中家一郎校長の存在なくしては「ふしづくり一本道」の輝かしい成果は得られなかったことを明らかにできた。第3点は、理論的研究の進展である。英国のGCSE試験、ドイツのアビトゥーア試験、米国の全米学力調査(NAEP)、ドイツの音楽科教育の歴史教育、の研究がいっそう進展したことである。
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音楽学習研究
巻: 7巻 ページ: 67-76
中国四国教育学会『教育学研究紀要』
巻: 57(CD-ROM版) ページ: 209-214
巻: 57(CD-ROM版) ページ: 416-421
音楽文化教育学研究紀要
巻: 24 ページ: 1-10
学部・附属学校共同研究紀要
巻: 40巻 ページ: 165-170