研究課題
本年度の研究は、(1)音高認知の成立過程にまつわる諸相に関する何らかの新たな知見を得ること、(2)音高認知が未熟な人を改善できるエクササイズ実践開発に向けた有益な知見を得ること、の2点を目的として行った。7月~9月:音高に関する音楽能力に何らかの問題を有する可能性がみられる教員養成系大学1年生12名を対象者として、同一課題による3回の調査および音高に関する音楽能力を伸長するための3回のエクササイズ実践を行い、音高に関する音楽能力の変容がわかる量的データと、音高認知機能の状況を探索できる質的データとを入手し分析した。結果、音高に関する音楽能力向上が未だ途上にある大学生は、音高の知覚・弁別機能は正常に機能していると認められるが、音高の記憶機能には問題が認められる。つまり、音高に関する音楽能力に問題を有する人は、音高の記憶機能の不完全によるものと推測できる、という知見を得た。10月~3月:音高に関する音楽能力を体系的に測定できる「聴奏・視奏システム」を開発した。これは、オルフ木琴にPCを接続し、被験者の聴奏力・視奏力という音楽能力を計測できるものである。さらに、音高に関する音楽能力を向上させる自己学習器としても応用できるものである。来年度は、このシステムを用いて調査を行うことにより、客観性のある量的データの入手が可能である。2月~3月:広島市内A幼稚園園児78名に対して、歌唱力と聴奏力を課題とする調査を実施した。現在、そのデータは集計・分析中である。今後は、これまでの調査で得た、児童・大学生の音高に関する音楽能力等のデータと照らし合わせ、音高認知の成立過程にまつわるそれぞれの成長段階での差異について検討を進めるつもりである。
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小学校音楽科教育法 学力の構築をめざして(ふくろう出版)
ページ: 3-5, 8-13, 14-17, 67-70, 92-96, 97-100, 106-112, 126-127, 145-158
音楽教育実践ジャーナル vol.7 no.1(通巻13号)
ページ: 131-141
幼児の音楽教育法 美しい歌声をめざして(ふくろう出版)
ページ: 3-12, 53-67, 77-85, 102-107, 108-120