研究2年目となる本年は、研究実施計画に基つき以下の調査・研究を行った。 (1)基礎的研究と仮説の構築 関連資料やテキスト等を収集し、それらの分析、検討を通して、課題解決のための方法・内容の理論的枠組みを仮説的に構築した。 (2)実演家への調査 実演家へのインタビユーおよび実演家からの受けた情報を整理した。 (3)箏指導についての実態調査 指導案の分析、教員へのアンケート調査・インタビューを行い、箏を用いた学習についてその傾向分析を行った。 (4)戦後日本の音楽科教育における和楽器教育導入の歴史的俯瞰 戦後の学習指導要領において、和楽器教育のキーワードがどのような意味で使用されてきたのかを分析し、再確認を行った。 (6)実践者、研究者によるシンポジウム 和楽器教育の実践者や教育者(大学教員・中学校教員)による情報・意見交換の場としてシンポジウムを開催し、発展的な研究のための示唆を得た。 『(5)現状をとらえ直すための授業研究』について今年度は実施できなかった。 実演家の手ほどきについての調査では、長野県、京都府、東京都を新たに加えた。学習した時期(時代)によろて楽譜の使用の有無、唱歌使用の有無が分かれており、興味深い結果か得られた。 (6)の一環として箏曲だけでなく能楽家への調査を行った。伝統音楽としての確立時期が異なることで「和の感性」のひとつとして考えている「礼儀作法」についての捉え方にも差があることが浮き彫りとなった。また、教員へのアンケート調査では、教師の経験不足によりまだ和楽器の指導について十分な指導をできる教師が多くないことが浮き彫りとなった。
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