研究のまとめの年となる本年の当初研究実施計画は以下であった。 (1)和の感性についての定義付け (2)和の感性を育てる教育としての箏指導のための実践提案 (3)研究成果の発表と報告書の作成 加えて、研究の中途で京都市立盲唖学校出身の地歌箏曲の実演家に当時の専門家教育ならびに戦前の修行について自身の経験を合わせた情報の提供をいただく機会を得、数度のインタビューを実施した。これにより現在の実演家が行っている手ほどきの実態と大きく異なる事実が浮き彫りとなった。またこのうち(3)については研究から得られた成果をもとに平成24年度の日本音楽教育学会出発表を行う予定である。 また、1年目2年目に実施した実演家への手ほどきに関するアンケート調査により実演家が求める学校教育における箏指導と、教師側が感じている箏を用いた和楽器指導の課題と期待をまとめた。 中学校での箏を用いた和楽器指導の授業研究を2校行った。当初計画では多くの授業見学を行う予定であったが実現しなかった。 指導事案については、教育研究大会を中心に近年の箏を用いた指導案を収集することができた。 研究を通じて最適と思われる「さくらさくら」以前以後に学習する箏の教材について数曲まとめた。これらの一部は現行中学校音楽科器楽教科書に掲載を行った。
|