研究概要 |
小学校における睡眠教育の支援に向けて小学校教員用の睡眠学習Web教材を作成し,その有効性を検討した。Web教材の作成にあたっては,平成19年度に発表した「子どもたちが睡眠の大切さに気づく授業の実践」(早寝・早起き・朝ごはん全国フォーラムinしが)の資料を主に使用した。Web教材の有効性については質問紙調査を実施した。対象は現職教員62名および学生33名である。調査内容は画像等に関わる5項目および内容に関わる5項目の計10項目を設定し,5段階評価で得点化した。画像等に関わる項目の平均得点は4.1~4.5の範囲にあり,内容等に関わる項目の平均得点は4.0~4.3の範囲にあった。これより授業支援に有効であると考えられた。Web教材の改善に向けては,「操作のしやすさ」では1画面上に収めて操作がし易いようにすること,「リンクのはり方」では元のページを残しつつ見たいページにとべるようにすることなど,技術的な内容が多かった。内容に関わる項目については,「教材(教具)の説明」に関して内容が難しいという指摘があったが,睡眠の専門的な知見に基づいてできる限り易しく表現しているので大きな改善は難しいと考えられた。 続いて,中学校における睡眠学習プログラムを作成して実践化を図り,授業評価を行った。中学1年生と3年生の生徒評価では,授業の満足度,内容の理解度,生活への活用度,教具の適切度のいずれにおいてもほぼ全員から「大いにある」または「まあまあある」の評価が得られた。なかでも1年生の教材の適切度で「大いにある」が50%近くを占めたことから,使用した教材の適切性が伺える。授業者および観察者の評価では,提示する教材の数や説明の仕方でいくつか改善点が指摘されたものの,全般的には生徒が睡眠の科学的知見を通して自分の睡眠を見直したり,睡眠への関心を高めたりしていたことが高く評価された。
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