研究概要 |
平成22年度までに、新学習指導要領下で小学校理科・社会科・生活科・体育・家庭科で学習される食にかかわる内容を抽出し整理した。更に、兵庫県の食育研究指定校を中心に学校研究紀要を集め、記載された食育単元の内容を示すキーワード別に分類し、どのような実践が多く行われているかを調べ,また,研究指定校へのアンケートを実施して,学校における食育の成果・実践に際しての問題点等を整理した。さらに、以上の結果と食育基本法に記載された食育のねらいに基づき小学校における食育実践のための「7つの柱」を設定した。 平成23年度は、小学校一学年から六学年までの食育のねらいを上記7つの柱に沿って整理し、各教科,総合学習、学級活動を組み合わせた年間指導計画の形で,食育実践モデル試案を作成した。更に、長崎県M小学校において、学校の実態(児童の実態と従来の取り組み)と摺り合わせた上で食育カリキュラムを作成し、実践・評価した。実践したカリキュラムの特徴・ねらいは次の3点とした。 (1)各学年各教科の食に関連する単元を7つの柱に沿って抽出・整理して組み込むことで,学年段階に応じて児童が無理なく食について学ぶことができる。 (2)7つの柱と関連させた各単元目標を設定することで,明確な目標に沿った評価が可能になる。 (3)(1)で抽出した単元を栽培や調理等の体験的な活動と関連付けて学ぶことで、食に関する様々な知識をつなぎ、物事を考えることができる力を育むことができる。また、全学年共通のカリキュラムとして「栽培」「食べ方」を設定することで食に関して基本となる知識・感性を体験的に身につけることができる。 児童のふり返りシート(単元末・学期末)と教員によるふり返りから評価規準に従ってカリキュラムを評価した結果、設定した目標は概ね達成できていたことから、モデルの妥当性が確かめられた。しかし、一部の目標が不明瞭、単元構成のバランスや学級活動の内容が不十分、更に知識をつないで考える力がついたかどうかは不明確、等の課題が示され、これをもとに改善したカリキュラムモデルを作成した。
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