中学校学習指導要領が平成20年3月に10年ぶりに改訂された。この改定された中学校学習指導要領は平成23年度までの移行措置の期間を経て平成24年度から全面的に実施されている。技術・家庭科における技術分野(以下、「技術科」という。)では、従来「A技術とものづくり」と「B情報とコンピュータ」との2つ分れていた内容が「A材料と加工に関する技術」、「Bエネルギー変換に関する技術」、「C生物育成に関する技術」、「D情報に関する技術」の4つに分割され再構築されている。 この改定で筆者らが注目した最も大きな変更点は、従来選択項目であった「Bエネルギー変換に関する技術」と「D情報に関する技術」における項目(3):「プログラムによる計測と制御」が必修化されたことである。 上述の新たに必修化された学習内容に対して、本研究では、小型ロボットを利用した、学習指導要領における内容A、B、Dが融合した教材製作を支援する技術科教員のためのスキルアップ教育システムの開発とその有効性を検討した。 開発した教育システムは3D加工機、3D CADおよび基板加工機からなるマイクロメカニズムの開発環境である。開発したスキルアップ教育システムおよび、教育システムを利用して開発した教材(小型ロボット)の有効性は、本学の学部授業における授業実践や、現職の教員を対象とした認定講習、更新講習などの講座を通した2周回のPDCAサイクルにより検証した。また、最終年度は、その評価からのフィードバックである、より柔軟性のある機構の開発を実施した。さらに、3D加工機を利用した小型ロボットの製作過程を教員養成課程における「プログラムによる計測と制御」の学習カリキュラムに利用できるように教育システムを改善した。
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