研究概要 |
最近,子ども達の理科離れが話題になっているが,これには小中学校理科教員の自然体験および自然認識不足のため自ら教材開発することなしにマニュアル化した理科授業を行っているためと考えられる。また,小中学校の理科教員から子どもたちを地層観察するために露頭に連れて行っても,そこで何を観察させて,何を指導してよいか分からないという意見が寄せられている。そのため地質分野においては,地域地質教材開発のための野外地質巡検コースを複数設定し,小中学校理科教員の地質学的素養や指導力を高める内容にするとともに"総合的学習の時間"や"選択理科"で活用できるプログラムを作成することを目的とする。 今年度は,加久藤火砕流堆積物に着目し,その分布標高から人吉盆地南縁部断層の変位量を見積もったり,断層地形の特徴とその形成過程を明らかにするとともにこれらの教材化に務めた。また,これらに関する内容に着いて教育関連学会で発表を行なった。学会発表した地質教材ついては、多くの現職小中学校教員にとって授業で役に立つ情報であるとともに教員自身の地学教育の指導力向上に役に立つ内容であったとのコメントを頂いた。今後は、人吉および天草地区において化石教材、堆積構造等をその地域の形成史と組み合わせて順次教材化し,理科教員(地学分野)の指導力向上に向けてのプログラム開発を行なっていく予定である。
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