研究概要 |
平成23年度は,「情報発信のためのデザイン力」のための授業を実施し,PDCAサイクルを用いて授業の検証改善を図った後,授業に際し開発した「色彩感覚の傾向を判定するテスト」をサイトとして公開することを目的に研究を行った。 「色彩感覚の傾向を判定するテスト」の開発においては,平成22年度に開発した「色彩を正しく見る能力テスト」の改良を複数回行い,試行を重ねた。その結果,複雑であった色彩の選択方法を改良し,マウスの簡単な操作のみで正解が得られる様にした。また,「色彩感覚の傾向を判定するテスト」の回答においては,10問1セットの実施を被験者に依頼したが,実際には,1セット以上の実施をした被験者が多くいた。このことから,本サイトを積極的に利用し,自らの色彩感覚を改善しようとする傾向が見られた。 更に,「色彩感覚の傾向を判定する」必要性についての討議を「情報発信のためのデザイン力」の授業で行い,現代の大学生の色彩感覚に対する意識や考えについて調査を行った。その結果からは,教員を目指す学生の多くが,児童・生徒を指導する教員の立場を重視し,自己の色彩感覚を客観的に知っておくことが必要であると考えていることが分かった。 それに加え,「情報発信のためのデザイン力」のための授業では,学生の描画制作や美術史や美術科教育に関するレポート及び色や形に関する知識を問うテストの他,教育目標や教育方法に関するアンケート等を課し,「色彩感覚の傾向を判定する」サイトの結果から得られた色彩感覚の傾向と,美術科教育に関する意識や知識等の能力の相関をみた。その結果からは,当初の予想に反し,色彩感覚の育成を重視しない学生は優れた色彩感覚を有している等,造形や美術に関心が高く,優れた成果を示す学生にとって,色彩感覚の育成は重要とは捉えられておらず,寧ろ,造形や美術に苦手意識を持っている学生が色彩感覚の育成に積極的であることが分かった。
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