最終年度は2011年度に行った西表島の船浦中学校での僻地教育実習、同じく2012年度に行った小学校二校での僻地教育実習の記録の作成とその教育効果の分析と若干の補足調査資料を、報告書『滞在型教育実習の試行--西表島における学びを中心に』にまとめた。 船浦中学校の実習では、事前学習として、2010年度に刊行した本科研の報告書『西表島仲村貞子ガイド学習実践の継承-船浦中「学びあい」のカリキュラム』を多様な教科および僻地の子どもの学びを読みとる教材として使用した。また、実際の教育実習では、僻地でしか味わえないような教科を越えた生活指導・特別活動にも学生の学びが読みとれた。 また、教材や実習を提供してもらう船浦中学校の先生方とは、本研究の冒頭から子どもの学びを豊かにするための協同研究を行い、最終年度も協同研究を続け、報告書に目を通していただき意見をいただいた。 また、西表島での小学校での僻地教育実習の試みは本科研以前の2003年から始まり、科研最終年度では、「学生と教員との学び」を構築するという形で改善を図った。特に疑問に対しても丁寧に応えてくれる先輩教師としての姿は、学生たちの多くが、「また行きたい」という気持ちを引き起こしている。それだけ離島へき地校での体験が「教師になりたい」という思いを強め、「教師のやりがい」を感じる場となっている。 また、補足調査として、石垣島や宮古島の僻地教材およびカリキュラム開発も同時に行った。その成果の一部も報告書に記載した。ただし、授業音声記録は個人情報保護との関係で目録のみにとどめている。 本研究のテーマは「へき地における教育実習を中心とした滞在型教育カリキュラム開発研究」である。この研究は、学生のみならず教員の教師教育の充実ぬきには成立しなかったと考える。
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