本研究は、多文化化が進む日本社会における様々な接触場面の現場における「移民/人の移動」をテーマとした包括的なカリキュラムモデルの構築と教材開発を目的として進めた。これまで、日系・韓系ブラジル人の歴史を調査するとともに、多文化社会の構成員である滞日外国人へのインタビューをもとに、小学校、中学校、高等学校、大学、地域社会において利用可能な読み物教材開発を行なってきた。また、日系ブラジル人児童・生徒を対象とした移民学習カルタを開発した。 本年度も、多文化社会の構成員としての外国人へのインタビューを継続的に実施した。そして、これまで作成してきた教材を利用した実践授業を、小学校・中学校・高等学校・大学および地域社会の領域でさらに協力者を得て行い、個々の現場によりあった教材の利用方法を模索した。最後に、読み物教材をまとめ、カルタ教材および本研突の報告書を作成した。具体的には、下記の4点に関して研究を行った。 1.日系・韓系ブラジル人、および日本の多文化社会を構成する外国人へのインタビューを、国内調査協力者および助言者の協力を得てさらに進めた。2.海外研究協力者と学会時および学会以外の時期にも会してミーティングを行い、これまでの実践授業に関する振り返りや報告書作成に向けての打ち合わせを実施した。3.1.および2.で収集した資料の文字化、翻訳、データベース化を行った。4.3.で得た資料をもとに「読み物教材」を完成させるとともに、カルタで使用する資料の版権処理などを行い、3年間の研究成果を報告書にまとめた。一方で、6月の日本国際理解教育学会や、11月の韓国国際理解教育学会において、共同研究者らや実践者らとともに研究発表をした。
|