子どもを取り巻く情報環境の大きな変化に伴い、情報モラルの指導や情報化社会に参加する態度の育成が喫緊の教育課題となっているにもかかわらず、学校における道徳教育では、これらの課題に取り組むためのカリキュラム開発がほとんどなされてこなかったのが現状である。本研究では、情報化社会を生きるうえで求められる市民性である情報モラルと情報リテラシー(情報活用力)の育成を視野に入れた情報倫理教育の充実を今日の道徳教育の課題と受けとめ、小・中学校の道徳教育における情報倫理教育の体系的なカリキュラムモデルを提案し、実践可能な教材や指導方法の開発を行う。 本年度は、研究協力校における実践例を分析し、以下の研究成果を得た。 1.道徳教育における情報倫理教育のカリキュラム・フレームワークに関する理論的検討 諸外国の事例や我が国の先行事例を整理した。また、本研究所において新たに作成したカリキュラムモデル「情報モラル教育実践ガイダンス」(平成23年3月刊)と「カリキュラムチェックリスト」を生かして、各学校におけるカリキュラムづくりの具体的方策を検討した。 2.カリキュラム開発の事例研究 研究協力校における実践事例の分析に基づき、小・中学校における道徳の授業で使用可能な「情報モラル」を題材とした資料の開発を行った。その成果を生かし、文部科学省における道徳教育の教材作成に関する協力者会議において、情報モラルに関わる資料の作成に協力した。
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