研究概要 |
本研究は、持続的な日米共同研究の蓄積と協力関係の下に実施された平成19年度-20年度の「萌芽研究」を展開するものである。平成21年度は、米国パール・ハーバー生存者協会(PHSA)の協力の下に当時16歳以上だったパール・ハーバー攻撃体験生存者男女合計26名に実施したインタビューと、広島県被団協と被爆者団体協議会東京都支部(東友会)の協力を得て、原爆投下当時13歳以上の広島と東京に在住の被爆者28名に実施したインタビューについての分析を、電子メールの交換とインターネット会議を通して進め、そこから「健康体験の転換点」の抽出とそれらが具体的に表出された引用句の整理、そして、各研究者から出された日米の戦争体験者にみられるそれぞれ独自の視点、日米共通にみられる視点の評定を比較検討し共有化をはかった。 その結果、年末までに、すべてのインタビューデータについて基本分析を終了した。また、平成20年のGerontological Society of America(GSA:米国老年学)学会のシンポジウムにおいて発表を行った最初の5例ずつについて、GSAの公式ジャーナルであるJournal of Aging, Humanities, and the Artsに原著論文として投稿し、採択、掲載された。平成22年2月には、ダライ・ラマ法王の米国フロリダ訪問に合わせて計画されたFlorida Atlantic大学のピースウィーク行事の一つとして、共同研究者のPatricia Liehr Florida Atlantic大学看護学部教授とセミナーを開催した。同時に、3D立体絵本などの製作経験を豊富に持つAndrew Binder教育学部准教授と今後の教材作成に関する打ち合わせ、脚本化の可能性の検討、パフォーマンス開催の場所の選定などの議論を行った。
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